修学旅行に参加した2年生へ

公開日 2017年12月15日(Fri)

修学旅行に参加した2年生の皆さんへ


今回の修学旅行は楽しかったですか?

「はい」と答えてくれた人。
ありがとう。君が修学旅行を楽しめたのは、君が節度を守り、他人に迷惑をかけないようにしてくれたからだと思います。他人に迷惑をかける人は、本人も実は心の底から楽しいとは思っていないと私は思っています。
しかも修学旅行中、他人に迷惑をかけ続けていたら、先生に叱られっぱなしで楽しい訳がないからです。(もちろん、先生たちは、「もっと、ここはちゃんとしなさい」と思ってはいるはずです。でも、せっかくの修学旅行をつまらないものにしないために、細かいことはお腹の中におさめてくださっているのを忘れてはいけませんよ)
他人に迷惑をかけてはいけないのは、他人のためだけではなく、自分が気持ちよく過ごすためです。
そして、せっかく楽しめたのなら、この楽しかった思い出を覚えておいてください。そして、出発前の武道館で聴いた「この修学旅行が本当に成功したかどうかが分かるのは、30年か40年経ったあとだ」という話を思い出し、忘れないでください。私はその頃にはもうこの世にいないかもしれませんが、私に言われたからではなく、君がより一層価値ある人になるために、ひとつだけ君たちに教えてあげられるとしたら、このことだと思っています。

「はい」とは答えてくれなかった人。
楽しくなかった原因は何でしょう?
体調を崩して、みんなと離れて、寝ている時間があったから?
引っ込み思案で人見知りな性格で、周りのみんなとなかなか仲良くなれず、一人で過ごす時間が長かったから?
周りの人たちよりスキーの上達が遅かったから?
食事が口にあわなかったから?
お小遣いが少なくて思ったように買い物ができなかったから?
理由は人それぞれあるはずです。
しかし、君がそれを克服するためにした工夫は、完璧だったでしょうか?
卵から産まれる生物は、自らの力で殻を破って産まれて来ます。
実は私も、あまり信じてもらえませんが、とても人見知りで、他人と仲良くなるのがとても苦手でヘタです。しかし、苦手だからと言って、誰とも触れ合わずに生きて行くのは不可能なので、人と接する時はできるだけ笑顔でいて、周りの人たちにも笑顔でいてもらえるように精一杯努力し、少しでも周りの人たちに不快感を与えないよう、一生懸命頑張っています。例えば、いろんな本を読んだり、テレビを観たり、映画を観たり、音楽を聴いたり、絵や彫刻や建築や舞台などの芸術に触れたり、少しでもたくさんのことを知って、どんな人とも上手に話せるようになれるよう、できる工夫をできる範囲で少しでもするように心がけています。もちろんそう簡単にうまくは行きません。失敗ばかりで、成果より労力が上回っているのは間違いありません。
でも、何もしないよりはマシなのも間違いありません。
自分の殻は自分で破るしかないと私は思います。
私は何十年も殻を破るためにあくせくしています。
殻の中に閉じこもったままでは、次の機会も逃してしまうかもしれません。
周りは楽しそうにしているのに、自分だけ置いてけぼり……こんなに辛くて悲しいことはありませんよね。
だからこそ、そんな思いをしなくて済む方法を探してください。
今、できることだけでいいです。
そして、疲れたら休めばいいです。
急にはすべては変わらないかもしれないけど、君が動き出せば、君の心の中で、ほんの少し何かが変わったのは、間違いないと、私は思います。


本当は、もっときちんと説明しないと、誤解される可能性があるのですが、あまり長くなるのも良くないので、君たちの良心を信じて、ここまでにしておきます。


私は今回の4日間を君たちと一緒に過ごして確信しました。
君たちは間違いなく、人の善意を善意として受け止められる人たちです。
そして、君たちは今も素晴らしい生徒たちですが、確実に「もっと素晴らしくなれる」生徒たちです。
どうか、この旅行を次に繋げ、生かしてください。
この4日間が、君たちの人生の糧となることを祈ります。
本当にお疲れ様でした。
家までの帰り道気をつけて。。。